【白内障】多焦点レンズの手術を受けたら、将来の目標までクッキリしました
目次
50代女性の症例解説(院長:松岡俊行)
手術前の状態
霞み、光の乱反射で見えにくいということで受診された患者様です。初診時、両眼に前嚢混濁(ぜんのうこんだく)が強い進行した白内障を認めました。
裸眼視力は(右0.03・左0.03)、矯正視力は(右1.2・左1.2)でしたが、強度近視もあり日常生活に支障を来しておりました。もともと近視が強いので、眼内レンズは近くのピントが良いのではとご提案したのですが、日常はコンタクトレンズで矯正しているので、私の提案とは逆で、裸眼で遠くは見えて欲しいとのこと。
また、趣味で細かい手作業をするとのことで、老眼の眼鏡も辛いとのことでした。そこで、「近く・中間・遠方」の3つすべてにピントが合う3焦点眼内レンズのご提案をしました。強度近視の方で、ご希望の条件はすべてクリアできるレンズであり、慎重に眼内レンズのターゲットを決めました。
術後1日目、裸眼視力は(右1.2・左1.2)、近見視力は(右1.2・左1.2)。
術後3か月後、1年後、裸眼視力は(右1.0・左1.2)、近見視力は(右1.0・左1.0)。
患者さんは、裸眼で生活し、老眼鏡も必要なく近くを見ることができています。
患者様の感想
手術をしたきっかけは?
「コンタクトが合わないのは乱視のせい?」と勘違い
私の近眼歴はとても長く、中学生の時からコンタクトレンズをつけていました。視力は0.1を下回るほどのド近眼、しかも乱視も入っています。5.6年前からは近くも見えづらくなり、いわゆる老眼の症状も出てきたので遠近両用のコンタクトレンズを使うようになりました。
今、振り返ってみるとその頃からコンタクトレンズをつけていてもよく見えないな、と感じることはありました。
趣味のプリザーブドフラワーでは花びらを一枚ずつ重ねたり細いワイヤーを茎に通したりの作業が多いのですが、焦点が合わなかったりぼやけたりして作業時間がどんどん増えるようになってしまいました。
大好きな犬の服作りも、糸を針に通したりミシンを使う手元が狂いがちに。とにかく霞んで見えるのです。モヤッとしていて全てに紗がかかっているようなイメージです。これも乱視のせいかなと思いながら、コンタクトレンズを買い替える度に併設の眼科で検査をして左右で度数を変えてみるなど対策をとってはいましたが、なかなか改善はしませんでした。
いつものようにコンタクトを新しい度数に買い替えたときのことです。新調して数日しか経っていないにも関わらず見えにくいままの状況に嫌気が差して再度眼科を受診したところ、「白内障が進んでいる」と先生から指摘されました。
思いがけない診断結果を受け、私は正直なところかなりのショックを受けました。白内障はもっと年配の方の病気だと思っていたからです。
診断を受けてからは自分でも白内障について調べたり別の眼科でセカンドオピニオンを受けたりしましたが、日常生活で困るほどではなかったためしばらく様子を見ていました。
手術を決意したきっかけは、運転中に標識が見えづらく感じるようになったことです。さすがに「このままではいけない」と焦りを感じ、江坂まつおか眼科に足を運びました。
江坂まつおか眼科で診ていただくことを決めた理由は、自宅から自転車で行くことのできる距離で時間的・労力的負担も少なく、ホームページの充実した記事を見て「ここなら安心だ」と確信したからです。そこからはトントン拍子に手術の日程が決まっていきました。
まだまだ続く人生。先々まで考えて「多焦点レンズ」を選択
手術にあたり最初に決めることは、眼内レンズを単焦点にするか多焦点にするかです。私は迷わず多焦点レンズを選びました。
理由は大きく2つあります。
【理由1】人生をより快適に過ごしたいから
白内障の手術は基本的に一生に一度だけで、何回もやり直すものではないと知りました。自分の年齢を考えた時、将来後悔しないためには妥協せず、最善の処置を求めたいという思いが強かったからです。
【理由2】メガネのお世話になりたくないから
もし単焦点を選んだら、合わせるピントを「遠方」と「近く」のどちらか1つに絞ることとなります。ピントの合っていない方を見る時、場合によってはメガネをかける必要があると分かりました。
せっかく手術をするなら、コンタクトレンズをつけたりメガネをかける生活からキッパリ卒業することを望んでいた私は、江坂まつおか眼科の「近く・中間・遠方」の3つすべてにピントを合わせた眼鏡要らずの3焦点眼内レンズがぴったりだと思いました。
多焦点眼内レンズの手術は確かにそれなりの金額ですが、私にとってはそれよりもメリットの方がはるかに大きいと感じたので迷いはありませんでした。
いざ手術となると、不安が全くなかったといえば嘘になります。そもそも、同じような年代で白内障の手術を経験している人が周りにはいません。経験者のいわゆる「生の声」を聞くことができない中で、インターネットで調べると真意のほどもよく分からないような記事がたくさん出てきて心配になったこともあります。
そんな私を支えてくれたのは江坂まつおか眼科のスタッフの方々でした。
手術前の検査担当の方は優しく親身に接してくださり、とにかく安心感を与えてくれました。また手術のときにそばにいてくれた別の方は、些細な質問にも嫌な顔ひとつしないで笑顔で丁寧に誠実に答えてくれました。おかげで手術にも穏やかな気持ちで臨むことができましたし、この方々がいてくれたからこそ手術を安心して乗り越えられたと今でも心から感謝しています。
手術自体は、私の感覚として心の準備が追いつかないと思うほどあっという間に終わりました。最初に行われた左目の時は正直なところ少々痛みも感じました。ただし、その時間は術後30分から1時間程度のことです。念のために痛み止めの薬もいただきましたが、家に着く頃にはおさまっていたので服用せずに済むくらいでした。その後に行われた右目の手術の時は全く痛くなかったので、拍子抜けしたことを今でも覚えています。
予想もしていなかった娘からの嬉しいひと言
手術後の感想をひと言でいうと、「とにかくスッキリ!」これに尽きます。以前は両目ともに0.1未満だった視力が、今では左が1.2、右はまだ完全には安定していないものの1.0前後です。もし白内障の症状に悩んでいたり手術を躊躇している人がいたら「手術をして本当に良かった。今は最高にハッピーですよ!」と伝えたいです。
白内障の手術をしたら日常生活が快適になるだろうと期待はしていて実際その通りとなりましたが、中でもお化粧の時間が短縮されたことは特に嬉しかったです。
お化粧をする人なら分かっていただけると思いますが、視界がぼやけているとアイラインとか眉毛とか細かい部分のメイクがとても難しく、よく見えないから失敗したり描き直したり・・・無駄に時間を消耗してしまうのです。それが、手術後は小さな箇所までピントが合うのでアイラインも一発で決まります。出勤前の朝の忙しい時間に余計な手間が省けるので本当に助かっています。
手術をする前と後の1番の変化で圧倒的な快適さを感じるのは「朝、目覚めた瞬間からよく見える」ということです。以前は、寝る前に必ずコンタクトレンズを外していましたので、起床してからメガネやコンタクトレンズを使うまでの間は全てがぼんやりとしか見えていませんでした。それが今では起きてすぐに全てがよく見えるのですから、これほど爽快なことはありません。
家族の中で、私の変化に真っ先に気づいてくれたのは娘でした。手術を受けて数日経ったある時、娘が私の顔を覗き込みこう言いました。
「お母さん、瞳が前よりも綺麗になったんじゃない?」
思いがけない感想を耳にして、私は嬉しさでいっぱいになりました。きっと実際の瞳だけではなく、快適な生活で明るく溌剌とした表情も相まってそのように映ったのでしょう。
私の将来の目標は、「孫に絵本を読んであげること」です。まだまだ先のことですから、子供達が聞いたらきっと呆れるでしょうけど。かつて保育士だった私は当時から絵本の読み聞かせが大好きでしたから、それをもう一度孫にしてあげたいのです。
白内障の手術をして小さな字だってよく見えるようになった今、私は大きな目標まではっきりと持てるようになり、おかげさまで毎日が充実しています。