症例紹介

【白内障】手術のおかげで体の不調までも改善しました

calendar_today2024.09.30label#多焦点レンズ#日帰り白内障手術

50代男性の症例解説(院長:松岡俊行)

 手術前の状態

健康診断で、矯正視力が0.6だったとのことで受診されました。

当院の検査では、両眼とも矯正視力1.2でしたが、-5Dの中等度近視で、軽度白内障による霧視がみられました。また、網膜裂孔(もうまくれっこう)が見つかり、まずはレーザー治療を行うことにしました。

網膜裂孔というのは、放置すれば網膜剥離に進行する危険な状態です。網膜剥離は、眼球の奥にある網膜に孔が開き、目の中の水がその孔を通って網膜の下に入り込み、網膜が剥がれてしまう病気です。

そのため、すみやかに網膜光凝固術(レーザー手術)を行いました。実は50代というのは、網膜剥離の好発年齢です。加齢による硝子体の変化により、後部硝子体剥離が起きる時期であり、その際に網膜裂孔をきたしやすいと考えられています。

通常は入院して、硝子体手術後、うつむき(腹臥位)を2週間程度していただきます。早期に発見できれば、外来のレーザー手術で済む場合もあります。近視が強いこともリスクファクターです。本症例では、レーザー手術後、半年間の経過観察で特に再発の兆候も見られませんでした。その間は、白内障に対しては、進行予防目的で、カリーユニ点眼液、両眼1日4回を処方しました。

半年後、両眼に3焦点眼内レンズを用いた「水晶体再建術」を施行し、裸眼視力は右 1.2  左 1.5 でした。近見視力も両眼1.0であり、眼鏡なしで快適に過ごせているとのことです。

 

患者様の感想

 手術をしたきっかけは?

私はかれこれ30年以上、視力が0.1を下回るほどの近眼で20代の頃からずっとメガネをかけていました。そして40代に入ると、次第に遠くも見えづらくなってきました。いわゆる老眼です。それ以降は遠近両用メガネを使うようになり、10年はゆうに経過していました。

そんなあるとき、年に一度行われる会社の定期健康診断をいつものように受診したところ、お医者さんから「視力が出ていない」と言われました。想定外の診断に驚きましたが、まずはどこかの眼科で診てもらおうと思い、ネットで検索して見つけたクリニックが江坂まつおか眼科です。ホームページを確認すると、書かれている説明はしっかりしているし内容も充実していて、「信用できそうな病院だな」と第一印象で感じました。さらに我が家から距離的に近いことも分かったので、試しに行ってみることにしたのです。

正直に言って、初診で違和感があったり納得できない気持ちが芽生えたら、病院を変えようとさえ思っていました。いざ行ってみて、私の判断は間違っていなかったことがすぐに分かりました。スタッフは皆さん親切で感じ良く、何より先生は私の突っ込んだ質問やしつこい問いかけにも嫌がらずに分かりやすく答えてくれました。「ここでお世話になろう」、私は迷いなくすぐに決心したことを今でもよく覚えています。

診断結果は白内障、おまけに網膜剥離も起こしかけていることが判明しました。確かに見えにくいという自覚は以前からありました。近くも遠くも全てスモークがかかって見えるのです。「半透明のクリアファイルを通して見ている感覚」というとイメージしやすいでしょうか。白内障の見え方の例として紹介されている、ありがちな画像そっくりそのままです。

一番不便に感じたのはやはり仕事のときです。特にパソコン作業は文字通り苦痛でした。顔を画面に近づけても遠ざけても状況は同じで、とにかく文字が見えづらい。エクセルなんて本当に辛かったです。とりわけ数字の「6」と「8」は区別がなかなかつかなくて、、、今振り返るとその時間はつくづく不毛だったと思います。

 

 

おかげで趣味のゴルフからもだんだんと遠ざかってしまっていました。ボールがよく見えないことが原因です。ゴルフをしたことがある人なら想像できると思うのですが、ボールがよく見えなければ上手に打つことなんてできません。さらになんとか打ったとしても、そのボールがどっちの方向に飛んでいったのか、打球を目で追うことがかなり困難でした。結果、次に打つ場所へ向かうにも時間がかかってしまい、一緒に回るメンバーにだって迷惑をかけてしまう。そうなるとあんなに好きだったゴルフもいつの間にか楽しくなくなってしまいました。

 

メガネ生活から解放されたくて多焦点レンズを選択

目の治療としては、白内障よりも先に剥がれかけた網膜の処置としてレーザー手術が行われ、そしてその約半年後に白内障の手術が実施されました。

白内障の手術では、私は多焦点レンズを選択しました。理由は、「どうせ手術をするなら今後メガネを一切かけなくてすむ生活を送りたい」と思ったからです。単焦点レンズでは遠くか近くのどちらか一つにピントを合わせるため、ピントの合っていない方を見るときには私の場合、メガネが必要となります。つまり、単焦点レンズを選ぶと完全にはメガネの生活から解放されないということです。メガネを携帯する煩わしさやメンテナンスの手間・コストを考えると、割高だとしても多焦点レンズの方が私にとってはるかに魅力的でした。

もちろん、迷いがなかったわけではありません。それなりの金額を払い、万が一思った通りに見えなかったらどうしよう。人によって見え方に個人差はあるだろうし、世の中に100%はない、、、他でもない「目」のことですから誰だって慎重になるでしょう。でも私の場合、今できるベストの選択をしたいという気持ちの方がその不安を大きく上回り、ある意味勝負に出たといっても良いかもしれません。結果は大成功だったと私は今でも胸を張って言えます。

手術に関して触れておくと、痛みは全くなかったです。時間も体感としてとにかくあっという間でした。反対に事前の検査は結構細かく、時間をかけて慎重に準備してくれているなと感じました。

手術をして翌日にはすっかりよく見えるようになりました。術後、何も問題がなかったため、もう片方の目の手術もその週のうちに実施できたほどです。

 

仕事もはかどり、趣味のゴルフも再開間近です

白内障の手術を受けて遠くも近くもはっきり見えるようになり、0.1に満たなかった視力が今では1.0あります。術後は多少眩しさを感じるときもありましたが、それも半年程度で落ち着きました。現在の生活は快適そのものです。

振り返ると白内障の手術をする以前は、私は暗闇の中にいたという表現が一番しっくりきます。見るもの全てにモヤがかかった状態なので、何をするにしても心理的・肉体的にキツかったです。目を凝らして一生懸命に見ようとするから眼精疲労になってしまい、そのせいで慢性的な頭痛も引き起こしていました。そのような目の不調から派生していた体調不良も今ではすっかり改善されて、体が軽くなった気がします。手術前はここまで想像できていませんでしたが、想定外の体調の変化を今ではとても嬉しく実感しています。

仕事も当然ながら、以前よりもずっとはかどります。あんなに見えづらかったパソコン画面もよく見えるようになりましたし、目の前の画面から目線を外して遠くを見てもピントがしっかり合います。メガネをかける煩わしさからも解放されて毎日がとても気楽です。

今までずっとメガネをかけていた私が、いきなりメガネなしで仕事をするようになったので、術後しばらくは周囲からよく驚かれました。テレワークのオンライン会議では、「あれ?メガネかけていましたよね?」と言われてちょっと照れくさかった時もあります。まあそれも一時のことで職場のみんなも私自身も、メガネをかけていない自分の顔にすぐ馴染んだように思います。

そして、しばらく遠ざかっていたゴルフもいよいよ再開しようと計画中です。ボールを打った後の弾道を目で追いかけるときもスコア表に目を落とすときも、きっとすぐにピントが合ってよく見えることでしょう。想像するだけで今から楽しみです。

白内障の症状で悩んでいる人がいるとしたら、私は「早く手術に踏み切った方がいいですよ」と伝えたいです。単焦点レンズにするか多焦点レンズにするかの選択は個人の考え方やライフスタイルの違いによって分かれるところもあるので、本人の納得する方に決めたら良いと思います。ただ、「私は多焦点レンズを選んで近くも遠くもメガネなしでよく見えるようになり本当に良かった。おすすめします。」ということだけは声を大にして言いたいです。