白内障(はくないしょう)は、目の中の「水晶体(すいしょうたい)」というレンズが濁る病気です。この濁りが進むことで、視界がぼやけたり、かすんだりしてきます。年齢とともに進行することが多く、高齢者に多く見られる病気です。
✅手術を考える具体的なタイミング
1. 日常生活に支障が出たとき
視力低下が、日常生活にどの程度影響しているかが重要なポイントです。次のような場合は手術の検討が必要です。
- 運転: 標識や信号が見えづらく、特に夜間の運転が怖く感じる
- 読書やスマホ: 文字が読みにくく、ルーペや強い光が必要になる
- 趣味: 裁縫、絵画、ゴルフなど、細かい作業が難しくなる
- 階段や段差: 深さが分かりにくく、つまずきやすい
✔ ポイント: 生活の「困りごと」が増えてきたと感じたら、眼科で相談しましょう。
2. 光のまぶしさやにじみが気になるとき
白内障が進行すると、光の反射やにじみが強くなることがあります。
- 夜間の対向車のヘッドライトが強烈にまぶしい
- 明るい場所で目を細めないと見えにくい
- 光がにじんで物が二重に見える
光のにじみの見え方の例
引用:JSCR 日本白内障学会
これらは「グレア現象」や「ハロー現象」と呼ばれ、夜間の事故リスクを高めるため、早めの対応が大切です。
3. 眼鏡やコンタクトで矯正しても視力が改善しないとき
白内障が進むと、新しい眼鏡を作っても視力が改善しなくなることがあります。
- 頻繁に度数を変えているのに、はっきり見えない
- 両目で見たときの見え方が違いすぎる
- 見え方が「黄色っぽい」「くすんでいる」と感じる
✔ ポイント: 眼鏡を変えても見えづらさが続くなら、白内障の進行が原因かもしれません。
4. 他の目の病気の治療に支障がある場合
白内障が進行すると、目の奥(網膜や視神経)を詳しく診ることが難しくなるため、他の病気(緑内障や糖尿病網膜症)の治療や検査に支障をきたすことがあります。
- 緑内障: 眼圧管理のために、視神経をしっかり確認する必要がある
- 糖尿病網膜症: 網膜の状態を正確に観察する必要がある
この場合、白内障手術を先に行うことで、他の病気の管理がしやすくなることがあります。
🚩緊急で医師に相談すべき症状
白内障は一般的にゆっくり進行しますが、急な視力低下や強い症状が現れた場合は、すぐに医師に相談が必要です。
- 突然の視力低下や視野欠損
- 激しい目の痛みや充血、強い頭痛を伴う場合
- 光が全く見えない、または視界が真っ暗になる場合
これらは急性緑内障発作や網膜剥離など、緊急治療が必要な病気の可能性もあります。
⚖️白内障手術のメリットとデメリット
メリット
- 視力が改善し、日常生活が快適になる
- 夜間の運転や読書、趣味が再び楽しめる
- 他の目の病気の診断や治療がしやすくなる
デメリット(リスク)
- 感染症、出血、網膜剥離などの合併症リスク
- まれに視力が思ったほど回復しないこともある(網膜や視神経の問題が隠れている場合)
- ドライアイやまぶしさが手術後に残ることがある
🗓️手術を決めるまでの流れ
- 眼科受診: 視力検査、眼底検査、白内障の進行具合を確認
- 生活の困りごとを相談: 医師に具体的な悩みを伝える
- 手術の説明を受ける: 方法、リスク、費用などを確認
- 家族と相談: サポート体制や術後の生活も考慮
🎯まとめ
- 視力の低下が生活に影響しているなら、手術の検討を。
- 症状が軽い場合は定期検査で経過観察も可能。
- 不安なことがあれば、遠慮せず医師に相談することが大切。
白内障手術は一般的で安全性の高い手術ですが、自分の生活スタイルや不安な点も考慮して、納得のいくタイミングで決めましょう。