多焦点眼内レンズは保険適応にならない?
多焦点眼内レンズ(MFレンズ)は、現在のところ、健康保険の適用外です。
その背景には、多焦点レンズが「先進医療」として扱われていた歴史が関係しています。以下に詳しく解説します。
1. 多焦点眼内レンズの先進医療としての位置づけ
初めて多焦点眼内レンズが登場した際、このレンズは 先進医療 に分類されていました。先進医療とは、最新の医療技術や機器が使用される治療法であり、これらは健康保険が適用されないため、患者は自己負担で支払う必要があります。
多焦点レンズは、1本のレンズで遠近両方の視力を改善できるというメリットがあり、多くの患者にとって非常に魅力的な選択肢でしたが、その技術の新しさと費用の高さが理由で、当初は保険適用外とされました。
2. 先進医療の対象としての扱い
多焦点レンズが先進医療として扱われた時期、医療機関でこのレンズを使用するには、患者が全額自己負担をしなければなりませんでした。これは、先進医療として評価されるためには、まだ十分な実績がない技術に対して保険適用を避けるという方針があるためです。
その後、多焦点レンズの使用実績が増えてきたものの、依然として保険適用には至りませんでした。この背景には、医療保険制度の制約と、多焦点レンズを使用した場合の視力改善のバラツキがあることが影響していると考えられます。
3. 保険適用にならなかった理由
多焦点レンズは、通常の単焦点レンズに比べて、全員に適しているわけではないという点が、保険適用を難しくしています。
多焦点レンズは、1本で複数の焦点を持つため、近くと遠く両方をクリアに見ることができますが、全ての患者にとって最適な視力を得られないこともあります。眼底に疾患を持つ方には適応が限られたりします。患者様によってはうまく適応できない場合もあり、これが保険適用を進めるうえで障害となったのです。
4. 今後の保険適用の可能性
現在のところ、多焦点眼内レンズが保険適用になる可能性は極めて低いと考えられています。
これは、次の理由からです:
- 医療保険制度の制約:保険適用には、治療法が広く普及し、十分な実績と安定した成果が求められます。多焦点レンズはその実績が十分ではなく、保険適用が難しいとされています。
- コスト面の問題:多焦点レンズは、通常の単焦点レンズに比べて価格が高いため、保険適用には費用対効果の面で慎重な議論が必要です。
5. まとめ
- 多焦点眼内レンズは現在、健康保険適用外です。
- 初めて導入された際、先進医療として扱われ、その後も保険適用には至っていません。
- 視力の改善には個人差があり、バラツキがあることが保険適用を難しくしています。
- 今後も保険適用になる可能性は低いと考えられていますが、医療技術の進歩により将来的に変わることはあり得ます。
もし、多焦点レンズの使用を希望する場合は、自由診療として受けることができます。その際、費用や視力の調整について、しっかりと医師と相談し、納得したうえで手術を行うことが大切です。