
悪くなった目は戻らない…!
これまで近視は、メガネなどで矯正すれば良いものとされてきましたが、近年では疫学的研究から将来的な目の病気のリスクを高めることがわかってきました。
下の表は近視の度数ごとの将来的な目の病気のかかりやすさを示しています。
これを見ると、軽度の近視でも近視がない場合に比べて緑内障になるリスクは4倍も高いことがわかります。小児期から対策をすることが将来の目の病気の予防にどれだけ効果的かがよくわかります。

近視が進行すればするほど、将来的に目がなんらかの病気になる確率が高まります。
とくに強度近視である-6D(度数0.01以下)になると、白内障は5倍、緑内障は14倍、そして網膜剥離は22倍とリスクが極めて高くなります。
近年の医学の進歩で白内障は治すことができる病気となりましたが、緑内障は進行すると失明してしまう恐ろしい病気のままです。
近視を放置し続けると強度近視になり、さらに進行すると病的近視という状態になります。
そこまで進行してしまうと病的近視特有の合併症が生じ、失明するリスクが高まります。病的近視は視覚障害1級の原因疾患として日本では4番目に多い疾患です。
そして小児期に強度近視になった症例に病的近視が多くみとめられます。

近視は一度なってしまうと17歳ごろまで進行してしまいます。また、発症したのが低年齢であるほど年間の進行量は大きくなります。つまり、低年齢で近視を発症すると強度近視になりやすいということがいえます。
近年、低年齢での近視が増えています。
強度近視から病的近視に進行するリスクがどれくらいかは現時点でははっきりしていません。しかし、影響があった場合を考えると、お子さんが低年齢であればあるほど近視予防のための生活習慣を心がける必要があるでしょう。
