網膜の機能を回復させる硝子体手術
眼球の大部分を占めている組織が「硝子体」です。
この硝子体が、さまざまな原因によって網膜を引っ張ったり、濁ったり、炎症・出血を起こすことがあります。こういった場合に行われるのが「硝子体手術」です。硝子体カッターによって濁り・炎症・出血を伴う硝子体を取り除き、代わりに灌流液を注入する手術です。
硝子体手術の適応となる代表的な疾患には、糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、硝子体出血などがあります。
当院で行う硝子体手術の特徴
3D Visualization Systemを使用
~より精度の高い手術が可能~
当院では、顕微鏡の映像を4Kモニターで確認できるシステム「3D Visualization System」を導入しております。
大画面で高解像度の立体画像を確認しながら、より精度の高い手術を行うことができます。
最小の切開創での硝子体手術システム~傷口小さな手術で負担を軽減~
小さな切開創から硝子体切除や灌流液の注入ができる、硝子体手術システムを導入しております。
低侵襲の治療により、患者様のご負担を軽減します。
感染対策の徹底された手術室
~感染リスクを最小限に~
病院の手術室と同等のレベルの空気清浄度を維持するため、手術室にはクリーンエアコンを完備しております。
手術中の感染リスクを、限りなくゼロに近づけます。
硝子体手術が必要となる疾患
糖尿病網膜症
生活習慣病である糖尿病に合併して起こる網膜障害です。
網膜の毛細血管が詰まったり破れたりして、視力の低下につながります。最悪の場合には、失明に至る病気です。
裂孔原性網膜剥離
廊下、網膜の萎縮、外傷などによって網膜に裂け目が生じ、そこから水分が侵入するなどして網膜が剥がれてしまう病気です。
硝子体出血
網膜の血管が切れるなどして出血し、硝子体腔に血液が溜まった状態を指します。
主に、糖尿病網膜症、網膜静脈分枝閉塞症、裂孔原性網膜剥離、加齢黄斑変性によって引き起こされます。
黄斑前膜
加齢、網膜剥離・網膜裂孔の治療などを原因として、網膜の前方に線維性の膜が生じる病気です。黄斑が遮られることで、物が歪んで見えたり、視力が低下したりといった症状を引き起こします。
黄斑円孔
後部硝子体剥離などによって、網膜の黄斑部に孔(穴)が空く病気です。黄斑部には視神経が集中しているため、その障害によって視力が低下します。
黄斑浮腫
糖尿病網膜症、網膜静脈分枝閉塞症、ブドウ膜炎などを原因として、黄斑部がむくみ、視力低下を招く病気です。物がぼやけて見えたり、歪んで見えたりすることもあります。
網膜静脈閉塞症
生活習慣病に伴う動脈硬化などにより、網膜の静脈が詰まる病気です。特に、高血圧の方に起こりやすい傾向があります。視力低下、視野の欠けなどの症状を引き起こし、最悪の場合には失明に至ります。
その他
増殖硝子体網膜症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜下出血、硝子体混濁といった病気の治療でも、硝子体手術が行われることがあります。
局所麻酔で行う手術方法
江坂まつおか眼科では、局所麻酔での硝子体手術を行っております。
消毒をした上で、眼の下から注射麻酔を打ちます。麻酔を追加することもできますので、ほとんど痛みなく、手術を終えられます。
手術は、以下のような手順で進めていきます。
- 白目の部分に、硝子体カッターなど硝子体を取り除くための器具を挿入する穴、術野を照らす照明を挿入する穴、灌流液を注入する穴を空けます。
- 硝子体カッターによって濁り・炎症・出血を伴う硝子体を取り除き、代わりに灌流液を注入します。
- 各疾患に合わせて、必要な処置を行います。
- 網膜剥離や黄斑裂孔などの場合は、灌流液をガスと交換し、手術は終了です。
硝子体手術の費用
1割負担 | 約30,000円~約50,000円 |
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2割負担 | 約60,000円~約100,000円 |
3割負担 | 約90,000円~約150,000円 |
硝子体手術Q&A
硝子体手術の合併症には、
どんなものがありますか?
充血・異物感、眼圧上昇、感染性眼内炎、網膜裂孔、網膜剥離、増殖硝子体網膜症、血管新生緑内障などの合併症が起こり得ます。
いずれもごく稀または軽度のものですが、事前に十分にご説明いたします。
なお、手術の傷は、手術後数カ月かけて目立たなくなります。
手術後すぐに見えるように
なりますか?
硝子体手術は、手術をした直後や翌日から見え方が良くなることはありません。
少しずつ、場合によっては数カ月間をかけて、徐々に見え方が改善していきます。特に、硝子体出血に対して硝子体出血を行った場合には、見え方の改善に時間を要します。
手術時間はどれくらいですか?
原因となっている疾患や症状の程度によって異なりますが、軽症であれば1時間ほど、重症であれば2時間ほどかかります。
手術後の注意点はありますか?
網膜剥離や黄斑裂孔の治療として手術を行った場合は、灌流液の代わりにガスを注入しているため、トイレと食事以外の時間、24時間~1週間、うつむき姿勢を維持する必要があります。
また、手術当日は、消化の良いものを食べ、入浴(湯船に浸かること)をお控えください。手術後1週間は、飲酒・喫煙・化粧などができず、保護用眼鏡の装用が必要です。
その他詳細につきましては、ご相談の際にお伝えします。